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「機械は考えることができるか?」という問いから始まった考察は・・・チューリング・テスト


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数ヶ月程前のお話ですが、イギリスで「チューリング・テスト」に合格した人工知能のニュースがありました。

チューリングテストに「13歳」の人工知能が合格 « WIRED.jp

http://wired.jp/2014/06/11/eugene-the-supercomputer/

英国で行われたチューリングテストで、13歳の少年を想定した人工知能「ユージーン」が審査員の33%に「人間」と判定された。

人間と誤認させた人工知能とかビックリですね。尤も、このテストそのものに疑問を呈し、「チューリング・テストに合格してるわけじゃないんじゃないの?」と指摘してる方もいます。

史上初のチューリングテスト合格者「Eugene」はテストに合格していないと著名な専門家たちが指摘 – GIGAZINE

http://gigazine.net/news/20140612-eugene-not-pass-turing-test/

この快挙に対して「チューリングテストに合格したとは認めがたい」という反論が、著名なコンピュータ専門家たちから噴出しています。

いろいろと議論を呼ぶお話なのでしょうが、そもそも「チューリング・テスト」って何なのでしょうか? というのが今回のお話です。

チューリング・テストというのは、アラン・チューリングという方が考えたものだそうで、「機械は考えることができるか?」という問いから始まった考察は「模倣ゲーム」という提案に至ります。この辺は(ちょっと長いのですが)「チューリング・テスト再考」というWebページより引用します。

チューリング・テスト再考

http://mtlab.ecn.fpu.ac.jp/myNote/reconsidering_turing_test.html

しかし、チューリングが提案している模倣ゲームとは、そのゲーム自体はコンピュータと人間の間のゲーム(模倣ゲームといけば、たぶん、多くの人は、コンピュータに人間を模倣させるゲームのことだ、と思うに違いないが)ではない。チューリングが CMI で模倣ゲームと呼ぶものは、まずは人間どうしで行われるゲームなのである。

(「機械は考えることはできるか」という)問いの新しい定式は、我々が「模倣ゲーム」と呼ぶゲームの枠組みを使って記述することができる。そのゲームは、男性(A)、女性(B)、そして性別はどちらでもよい質問者(C)の3名によって行われる。質問者は、他の2人とは別の部屋にいるようにする。質問者にとって、このゲームの目的は、他の2人のうち、どちらが男性で、どちらが女性かを判定するというものである。

このゲームでの A の目的は、質問者である C に誤った判定(wrong identification)をさせることである。

(中略)

3人目のプレイヤー(B)のこのゲームでの目的は、質問者を助けることである。
以上のような、3人で行われる性別当てゲームが模倣ゲームなのである。

(中略)

このような人間3名によって行われる「模倣ゲーム」というものを提示したのちに、チューリングは、「機械は考えることができるか?」という問いを、以下のように定式化しなおすのである。

ここで我々は次のように問いを立ててみよう。「このゲームにおいて、機械が A の役割を受け持ったら、何が起こるだろうか?」 A を機械に演じさせるというこの形で行ったとき、質問者は、人間の男性と女性とによってゲームを行うときと同じ程度には判断を間違うだろうか? これらの問いが、我々のもともとの問い「機械は考えることができるか?」に取って代わるものとなる。

つまり、「知性って?」「思考って?」というところの議論を避け(そりゃ紛糾して収拾つかなくなりますよね)、「人間は(多分)思考できる」「なら、人間と区別がつかなければ、機械は(多分)思考できる」という判別方法を提案したのです。

チューリングさんの提案は、自ら挙げた問いに対する仮説だったのでしょう。これだけで機械が思考できると判定するのは無理があります。しかし、「やってみる」ことができる叩き台が提案されたおかげで、結果として「思考って?」という(まぁ哲学の話ですね)疑問に対する別アプローチが発展した、とも言えると思います。

2014年現在、人工知能の持つ力は映画や小説ほどには大きくありません。有り体に言ってしまえば「まだまだだね」なのです。しかし、進展がないわけではなく、むしろ爆速で進歩し続けている分野でもあります。その難しさは技術的な部分もさることながら哲学の分野にまで入り込まねばならないややこしさもあるので、結果として「まだまだ」なのでしょう。

でも、いずれ「ウクライナに住む13歳の少年ユージーン君」が人間と見紛うほどに「考える」ことができるようになると思います。それは、「考える葦」である人間の本質の一つを解き明かすことに他ならないからです。

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