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ハイパーテキストとXanadu(ザナドゥ)・・・「アルジャーノンに花束を」


140623

2014年6月15日に、アメリカの作家ダニエル・キイス氏が亡くなりました。代表作である「アルジャーノンに花束を」は3回も映画化され、ご覧になった方も多いかと思います。素晴らしい作品への感謝とともに、冥福をお祈りします。

さて、のっけから何故このような話なのかといいますと、1968年に「アルジャーノンに花束を」を映画化した「Charly(邦題:まごころを君に)」の監督を努めたラルフ・ネルソン氏にはテッドという息子さんがおり、このテッド・ネルソン氏が「ハイパーテキスト」という言葉を提唱し、その実現に取り組んでいる(現在進行形)人物でなのです。えっ? ハイパーテキストって何かって? これからそれを、ざっくりとご説明しますね。

2014年現在、インターネット・・・というかWebでごく当たり前のように使われている機能として「リンク」機能があります。テキストとか画像ボタンとかクリックして別のページに飛ぶアレですね。ええと、それが「ハイパーテキスト」です。終わり。・・・いや、7割ほど端折ってしまいましたすみません。リンクはハイパーテキストの重要な要素ではありますが、それだけを指してハイパーテキストというのは流石に乱暴な話だと思います。では、ハイパーテキストって何ぞや? というのを順に追いかけてみましょう。

その昔、ヴァネヴァー・ブッシュさんという人がいました。ブッシュさんのお仕事は、いろいろな実験の報告書を読んで、イケそうな技術とイケてなさそうな技術を選り分ける、という聞いただけで面倒くさそうなものでした。だって、イケそうな技術はともかく、イケてなさそうな技術も別のイケてる技術やイケてなさそうな技術と組み合わせるとアッという間にイケてる技術に早変わりしてしまったりするんですよ? ってことはイケてなさそうな技術もキッチリと理解して、別の技術と組み合わせることができるかどうか把握しておかなきゃイケないんですから、ああ、もう、書いているだけで疲れてきました。

ブッシュさんも面倒くさくなったのでしょう、もっと楽に仕事を進めることができないか? と考えて「MEMEX」というシステムを考えます。MEMEXは、資料と資料の関連性を記憶しておき、必要な時に必要な部分をサクッと探してくれる、そういう都合の良いシステムとして考えだされました。そんな都合の良い話があるもんかと思ったら、ダグラス・エンゲルバート氏が「oN Line System(NLS)」として作っちゃったわけです。ダグラス・エンゲルバートって聞いたことあるなと思ったら、マウスのお父さんであるダグラス・エンゲルバートさんではないですか! そう、コレを読んでるあなたが右利きなら右手のあたりに、左利きなら左手のあたりにある、あのマウスです! すごいですねエンゲルバートおじさん。

ブッシュさんとエンゲルバートさんが作ったそれは、今で言うハイパーテキストというには色々と足りない部分があります。ですが、このシステムこそがハイパーテキストの歴史をスタートさせました。そして、この2人と同じ道を往く人物の中に、冒頭に紹介したテッド・ネルソン氏がいます。ネルソンさんはブッシュさんとエンゲルバートさんに影響を受け、「ハイパーテキスト」という言葉を作り、そして(色々あって)理想のハイパーテキストシステム「Xanadu(ザナドゥ)」を作り始めるのです。時は1967年、ネルソンさんは30代になりたての頃です。

Xanaduは執筆、閲覧、管理、相互リンク、著作権管理などなど、電子文書で必要だと思われるいろんなことを処理できる、正に理想のシステムです。そして、残念ながら「高い理想」はそれ故の「困難な作業」に阻まれ、長い長い開発期間を要したのです。ぶっちゃけて言えば、その理想は今(2014年現在)でも完成しておらず、一部の機能を整えてリリースされたOpenXanadu(オープンザナドゥ)があるのみなのです。

Xanaduが難航している間に、ティム・バーナーズ・リー氏がWWW(World Wide Web)を作り、それが広まっていきました。ネルソンさんの言うハイパーテキストと、バーナーズ・リーさんの言うハイパーテキストは、おそらく理念レベルでは割と異なるものなのではないかと思いますが、今ではWWWこそがハイパーテキストの代表例として挙げられるようになりました。理想的であることと、多数が利用しやすいことは一致しない、ということなのかもしれません(一番大きいのはXanaduが完成していないという点ですが)。

そんなこんなでハイパーテキストというものの歴史を(ものすごく大雑把に)解説してきました。今後、また新たな考えや想像もしない理由で、我々の知らない「ハイパーテキスト」が当たり前になることがあるかもしれません。ですが、その理念の根っこの部分は変わらないでしょう。それは「如何に楽して成果を上げるか?」という部分です。

楽をするための努力を惜しまなかった先人に感謝し、私たちも(楽をするための)たゆまぬ努力を惜しまないようにしましょうね。

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